ステキな攻防戦

後は彼に自分の名前と判子を押してもらって市役所に離婚届を提出すれば、もう終わりだ。

電車のアナウンスが空港の最寄り駅を告げた。

彼もこの結婚生活には何の未練も持っていないはずだ。

3年間で連絡をしあったこともないし、時差のせいもあってかお互いに話をすることができなかった。

駅に到着したので、電車から降りて改札口へと足を向かわせた。

改札口を出ると、空港が見えてきた。

カバンからスマートフォンを取り出して時間の確認をする。

「もうすぐか…」

そう呟いてスマートフォンをカバンの中に入れると、空港へと歩き出した。

ロビーに到着すると、荷物を受け取り税関検査を受けた彼が現れたところだった。

こんなにもたくさんの人がいると言うのに、彼はとても目立っているように思えた。