「南ってさー、地味なくせに付き合ってるとか意味わかんなくない?」
「ほんと、全然つり合ってないよねー」

放課後、教室に忘れ物を取りに来た私の耳に、そんな声が入った。
思わず扉にかけた手を離す。それと同時に扉が開いて、声の主が現れた。
「あ。」
そう呟いた彼女たちは何事もなかったかのように出ていった。

教室に入り、忘れ物を取るため机に寄る。
「やっぱり…」
チョークで書かれた誹謗中傷。解放してあげろ、なんて言葉。私は涙を堪えて、ハンカチでその机を拭いた。

「あれ?菜子?なんで俺の机拭いてるの?」
教室に入ってきたのは、待ち合わせをしていた彼氏。

「南くん…」

まだ消えていないその文字が、彼の目に入る。
「…菜子、こんな地味なやつの彼女でごめんな」
そんなことない。
そう言おうとした瞬間、南くんが力強く私を抱きしめた。
「それでも…絶対に他の男に渡したくない…。好きすぎて苦しいよ…」



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