太陽が西に傾き始めた頃。
私は幼馴染の彼氏、海斗と一緒に帰っていた。
付き合ってもう三ヶ月。なのにキスどころか手をつなぐことすらしていない。幼馴染のため、甘々という雰囲気にもなりづらい。だから今日こそは進展させてみせるぞ、と思っていた。

私は一度立ち止まった。
そして振り返った海斗に向かって手の甲を出してみせた。手のひらを見せたら、きっと「あげるもんなんてねーぞ」って言うと思ったから。
すると…
「結婚指輪はまだねーぞ」
そう言われた。
結婚指輪って……はぐらかしてんのか!?
呆れた私は歩き出す。
「おい、まてよ…手、出せ」
「は?」
「手の平!」
「なによ、何かくれるの」
仕返しとして言ってやった。ため息をつく海斗。次の瞬間、私の手を勢いよく引いた。
「俺の手。やるよ」
真っ赤になった海斗の顔を見ながら、するりするりと指を絡める。
とろけてしまいそうだった。
「一生放すんじゃねーぞ!」


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