今日もまた私はすし詰めになりながら電車に乗って登校していた。次々と人が乗って来て扉に押し付けられる。息をするのも辛い状態でいると、スカートに何か違和感を覚えた。耳元からハアハアとおぞましい吐息が聞こえる。その手を振り払おうとするも、元から胸の前にあった私の手は下に下ろすこともままならない。
───助けて…
声もでない私は祈るのが精一杯だった。

「おじさん?その子、俺の彼女なんだけど」
ふと近くで男の声が聞こえ、スカートの違和感が消える。
駅につき、私は人混みに押し流され犯人が分からぬまま、目の前にイケメン二人が現れたことに気付く。
「ごめんね変な嘘ついちゃって。大丈夫?」
一人が私に聞き、勝手に首が縦に動く。するともう一方が
「怖かったよな。君、可愛いから…。次会ったら絶対捕まえるからな。安心しろ。俺らが必ず守るから」
そう言って名前も分からぬ君達は私の頭に優しく触れ、ポンポンと叩いた。


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