『ねぇ、とっておきの曲を教えてあげるよ。でも悲し過ぎて、私がいなくなったら歌えなくなるから嫌か?』

 i(アイ)は、サザンオールスターズの曲で“夢に消えたジュリア”を歌った。

 夏に消えた恋人を想う歌。

 歌詞の語尾に自分達に重なる部分があると、その曲を歌いながら彼に視線を向けた。

 この別れはもう止められない。胸を抉るような叫び、そんな歌をアイは熱唱した。