鉄の扉の隣には、水晶玉みたいなものが置いてあった。

なんとなくそこで変身の力を使う気がした。

水晶玉に手を添えると、だんだん力が吸われていく感覚がした。

「ピンク、どうしたんだ」

「5、ごめん…もう二度と変身できなくなる。さようなら」

「は、どういうこと」

全ての力がなくなった。

正体がバレる気がしたが、心配する必要はなかった。

元の現実世界に戻っていたからだ。

「これでよかったんだ、これで…」

そのまま教室に戻ろうとしたら、またアバドンが現れた、というより待っていた。

「使ってしまったのだな、まあこちらとしては敵が減って助かるのだがな」

これが目当てだったことぐらいわかっていた。

でもこれ以外に助ける方法がなかった。

「ちなみにだけど、仲間にはどう説明すればいいの」

二人のことだから責任を感じてしまうだろう。

「記憶がなくなるはずだから心配することはない。だがそれも辛いだろう」

確かに辛い、だけど迷惑かけないで済むからいいんだ。

泣きたくなるのを堪えながら教室に戻った。