ら、滑って壁から手を離してしまった。

転ぶのを覚悟したその時、賢人くんが支えてくれた。

助かった、けど問題があった。

こ、この体勢は…恥ずかしい。

わかりやすく説明すると、ハグをするみたいな感じ。

離したいけど力が入らず困っていたら、やっと離してくれた。

「さ、支えてくれて、ありがとう」

賢人くんを見ると下を向いて動かない。

よくよく見ると耳が真っ赤だ。

「こ、転ばなくて良かった」

恥ずかしすぎて今すぐここから離れたくなり、最後の力を振り絞って歩き出す。

「じゃあ、また明日」

明日からどう会えばいいか、不安になった。