アイビーの言葉に、サーシャは頷いた。涙が落ち着いた頃、サーシャはゆっくりと話す。

「……妖魔との戦闘で、私……咄嗟に合成魔法を放ったんです。1つは攻撃魔法で、その……もう1つは、召喚魔法……なんですが、実は半分成功で半分は失敗なんです」

首を傾げる皆を見たアイビーは、皆に分かりやすく説明を始めた。

「つまり、魔法でフォルトゥナに召喚されたはいいけど、僕らがどの魔法を使っても元の世界に帰れないってこと」

「……!!」

「ご迷惑をおかけして、申し訳ございません!」

「……」

頭を下げるサーシャに、どう声をかけていいか分からず、冬都はただただサーシャを見つめていることしか出来なかった。

「サーシャ、落ち込まないで。この状態でも、元の世界に帰る方法を知っている人がいるから」

アイビーの言葉に、ゆっくりとサーシャは顔を上げる。

「それは、誰……ですか?」

サーシャの問いかけに、アイビーは「……ユキヤ様」と答えた。

凛都は「ユキヤ様だって!?」と驚く。

「ユキヤ様って確か、フォルトゥナで最強の冒険者と言われていた……」

輝一の言葉に、アイビーは「うん……そのユキヤ様だよ」と頷いた。

「えっ、でも……ユキヤ様って……」