冬都の問いかけに碧子は少し考えたあと、「頼んでもいいかしら?」と冬都を見つめた。

「……今から、僕……世界法医学研究所ってところに行ってきます」

「あ、俺も行く!」

輝一の言葉に、冬都は「分かった。向こうについたら、すぐに輝一の家に向かうね」と言って、魔導書を使って現実世界へと戻っていく。

「……アイビー、俺も行ってくるね。そうだ……もう少ししたら、大智(だいち)がこっちに来ると思うけど……事情を説明してもらってもいい?あと、凛都さんには冬都が説明してくれると思う」

輝一がアイビーに向かってそう言うと、アイビーは無言で頷いた。



凛都に軽く事情を説明し、輝一と合流した冬都は魔法で世界法医学研究所までやってきた。

「……すみません」

世界法医学研究所に入って、冬都は声をかける。

近くに監察医のゼルダ・ゾルヴィッグ、マルティン・スカルスガルド、ルカ・ガスマンがいて、3人は一斉に冬都と輝一の方を向いた。

「冬都くんに輝一くん!?どうしたの?解剖の依頼かしら?」

「いえ、違うんです……蘭たちのことについて、お話が――」

冬都はそう言うと、輝一と一緒に蘭たちが魔法でフォルトゥナに飛ばされたことを話す。ゼルダたちは、驚いた様子で冬都たちの話を聞いていた。