アイビーの魔法で蘭たちが元の世界に帰ってから数日が経ち、クリスマスがやって来た。

冬都は依頼されたイラストを完成させて保存すると、パソコンの電源を落とす。

もう暗くなり始めており、冬都は「もうこんな時間なんだ」と呟いた。

ピコン、とスマホの通知音が鳴って、冬都はスマホを手に取った。輝一からメッセージが来ていて、冬都はすぐにメッセージを開く。

『冬都、暇ならフォルトゥナに来て!』

冬都は『分かった。依頼も落ち着いたし、今から行くね』と返すと、フォルトゥナに向かった。

「冬都さん、お久しぶりです」

冬都がフォルトゥナに着くと、館の一室でパーティーの準備をしていた蘭が冬都の方を向いた。

「蘭!?あ、星夜さんに圭介さん、碧子さんまで……元の世界に帰ったんじゃ?」

「えっと、実はね……」

碧子は苦笑すると、蘭たちがフォルトゥナに来た経緯を話してくれた。

それは、遡ること1時間前――



フォルトゥナから帰ってきてからいつも通りに仕事をこなしていた蘭は、1日の仕事を終えてぐっと体を伸ばす。

「お疲れ様~!」

そう言って蘭に抱きつこうとするルカをマルティンは素早く止め、星夜は俺の恋人に手を出すな、と言いたげにルカを睨んだ。

そんな皆の様子を羨ましげに見つめていた圭介が椅子から立ち上がった時、蘭たちの目の前にアイビーが現れる。

「皆さん、お久しぶりです」