冬都は気が付くと、どこかの森で囲まれた屋敷の庭に立っていた。
「……ここは……?」
冬都がキョロキョロと辺りを見渡すと、「……君は?」と凛都にそっくりな彼が姿を現す。
「凛兄?」
「…………あ、ユキヤ様が言ってた子か。ユキヤ様を呼んできます。少々お待ちください」
何かを思い出したように、凛都は言うとユキヤの名前を呼びながら屋敷の奥へと入っていく。
しばらく待っていると、「待たせたね」と白髪に水色の目のユキヤが姿を現した。
「君が、未来の僕かな?」
「……えっと……」
ユキヤの言葉を理解出来ずに冬都が立ち尽くしていると、ユキヤは「ふふっ」と笑みを零す。
「僕は、君の中で眠っている前世の記憶の主。ここは、君の記憶の中……というより、心の中……と言った方が早いかな。そして、ここにいる凛都は前世の記憶を守る存在。初めて、君と会った時の記憶はないけどね……」
ユキヤはそう言って、冬都を見つめた。
突然意識を失った冬都の体を支えていた凛都は、ユキヤの気配を感じ取り、懐かしさに思わず微笑んだ。
「……ユキヤ様……」
冬都を見つめ、凛都は前世で慕っていたユキヤの名前を呼ぶ。
「あの、説明をもらってもよろしいですか?」