美しい切れ長の目は心配そうに私を見つめている。

「大丈夫?体調悪いなら医務室連れて行くけど?」


近い__。

途端に緊張を覚え、一歩後退してしまった。

「大丈夫だよ」

俯きがちに小さく答えた。

耳がとても熱い。

今日は髪を後ろに一つに結っているので、耳が赤くなっていないか心配だ。

赤らんだ顔を見られたら、意識しているのがバレバレだろう。

少し前まで彼に近付かれるのを不快に感じて距離を取っていたけれど、今日はそれとは別の理由で離れてしまう。

「美琴、顔が赤くない?」

気付かれてしまったことに焦るが、なずなが「体調悪かったら言いなよ」と、言ったので、否定を止めた。

「そ、そう?ちょっと暑いからのぼせちゃったのかも……」

「大丈夫?」

「うん、大丈夫……ありがとう」

心で“なずな、ごめん!”と謝罪して、小さな笑みを浮かべた。