オムレツを口にした際には「最高!旨すぎ!」と褒めるので、更に喜びを感じた。

カボチャで作ったポタージュスープと、ジャガイモとベーコンの炒め物に対しても、同じく感激を見せてくれた。


この日は使用したベッドのシーツを洗濯し乾燥機に入れた後、彼の祖母宅を後にした。

空は雲がみつけられないほどの快晴で、昨晩の荒れた天気が嘘のよう。

駅まで歩く隣には、黒川君がいる。

今までは彼と二人きりの空間になることはなかったし、あったとしてもおそらく沈黙が続くに違いないけれど、今は昨晩の映画の感想や仕事の話などで会話が途切れることがなかった。

黒川君の自宅の最寄り駅は一つ違い。

私の方が一駅先に降りるので、電車内で別れるつもりでいたけれど、彼は律儀にホームまで出て見送った。

その心遣いに胸がほっこりするくらい、彼への警戒心はなくなっていた。