単純に頬が緩むも、すぐに表情が強張る。
「今井さんに聞いても“何のこと?”ってとぼけてさ、口割らないんだよね」
知らないところで彼女と話しているのを知り、軽く柏木を睨んでしまったほどだ。
「柏木って今井さんとそんな話するような関係だっけ?」
すると柏木は一瞬真顔になったものの、ブハッと吹き出した。
「まさか嫉妬してんの?」
そのまさかであるのだ。
少々バツが悪い思いで、「……悪いかよ」と言うと、柏木が「ハハッ」と笑い声をあげた。
愉快な顔をさらに睨みつける。
「悪い悪い。女子社員の憧れの黒川が、今井さんと話すくらいで嫉妬してるって思うと笑ってしまった」
自分でも笑いたくなる程カッコが悪いことはわかっている。
でも恋愛下手なのは理由がある。
昔からどうしても目立ってしまうタイプであるため、異性関係が派手に思われがちであるが、実はまったくの逆だ。
男子校育ちの上、近付いてくる女性は苦手なタイプばかり。
それでいて今井さんに長く片想いをしていたこともあり、今まで異性と付き合った経験がない。
この歳で男なので、焦らなかったと言えば嘘になる。
しかし、好きでもない女性と無理に交際するのも違う気がして、恋愛と離れた生活を送ってきた。
「今井さんに聞いても“何のこと?”ってとぼけてさ、口割らないんだよね」
知らないところで彼女と話しているのを知り、軽く柏木を睨んでしまったほどだ。
「柏木って今井さんとそんな話するような関係だっけ?」
すると柏木は一瞬真顔になったものの、ブハッと吹き出した。
「まさか嫉妬してんの?」
そのまさかであるのだ。
少々バツが悪い思いで、「……悪いかよ」と言うと、柏木が「ハハッ」と笑い声をあげた。
愉快な顔をさらに睨みつける。
「悪い悪い。女子社員の憧れの黒川が、今井さんと話すくらいで嫉妬してるって思うと笑ってしまった」
自分でも笑いたくなる程カッコが悪いことはわかっている。
でも恋愛下手なのは理由がある。
昔からどうしても目立ってしまうタイプであるため、異性関係が派手に思われがちであるが、実はまったくの逆だ。
男子校育ちの上、近付いてくる女性は苦手なタイプばかり。
それでいて今井さんに長く片想いをしていたこともあり、今まで異性と付き合った経験がない。
この歳で男なので、焦らなかったと言えば嘘になる。
しかし、好きでもない女性と無理に交際するのも違う気がして、恋愛と離れた生活を送ってきた。