「とにかくさ、スタイルもいいし、若いし、紘ちゃんにしとけば?」

“紘ちゃん”は私たちよりも二歳下らしい。

「顔はちょっと地味目で幼いけど、それがあの体とミスマッチでよくね?」

「加賀谷本当最低、女子の敵」

「なんだよ、女もイケメンに目がねーじゃん。それと一緒だよ」

「いや、それとこれとは話が別!」

普段の私も二人と同じ意見になるだろう。

でも今は、スタイルのよい“紘ちゃん”が気になり過ぎてたまらない。

__どうしてなの。

黒川君を盗み見るが、何ともないような顔をして大ぶりの海老が乗ったパッタイを口にしているので、心の内は読めない。

胸がチクチクと痛みを感じるので、押さえてしまう。

「今井さん、気分悪い?」

「え?」

「なんか辛そうに見えるけど、水もらう?」

顔と心は連動しているようだ。

柏木君に見抜かれて動揺した。

黒川君からの視線を感じ、そちらに目を向けるが、目が合った瞬間に視線を逸らしてしまった。

なぜなのか今の私の顔を見られたくなかった。