なんて言ったらいいのかわからなくて疑問形で言うと、また理人さんは笑う。

 こんなにも声を上げて笑う姿は初めてだ。理人さんの笑った顔は素敵だなって思っていたけれど、大笑いする姿はまるで少年のようでちょっと可愛い。

 笑うと目尻に皺ができるという新発見もして目が離せなくなる。

「野々花と一緒にいると、色々なことに気づかされるな。……今度はどんなことを教えてくれるのか楽しみだ」

「私が理人さんに教えることなんてないですよ?」

「いいや、きっとたくさんあるよ」

 自信満々に言う彼に言葉が詰まる。でも私も生活をともにする中で、新しい理人さんを発見できるのが楽しみでもある。

「これからもよろしくな、奥さん」

「はい、こちらこそお願いします。……旦那様」

 理人さんに合わせて返したものの、自分で旦那様と言って恥ずかしくなる。

 すると彼はまた目をクシャッとさせて笑うものだから、私の胸はギュッと締めつけられてしまった。