「今日の弁当もなにが入っているのか楽しみだよ」

「教えましょうか? おかず」

 すると理人さんは慌てて「楽しみが減るからいい」なんて言うものだから、思わず笑ってしまった。

 理人さんとは食事をともにするだけれど、その分この時間がかけがえのないものになった。他愛ない話をしては笑って、夕食時にはその日の話をしたりしていると、本物の夫婦になったような錯覚を覚えるほど。
 だからなのか、この生活には終わりがあると考えると、少し寂しく思う自分もいた。


「うわぁ、野々花の今日のお弁当も美味しそう」

「ありがとう」

 理人さんのお弁当を作るようになってから、栄養バランスや色どりにも気をつけるようになったから、毎回奈津希が褒めてくれて嬉しい。

「私はあまり料理得意じゃないから、毎日お弁当とか苦痛でしかないんだけど、正直つらくないの?」

「うん、つらくないよ。むしろ楽しいかな」

 小声で聞いてきた奈津希は私の話を聞き、あからさまに嫌な顔をした。

「うえぇー料理が楽しいなんて私は一生思えないなぁ」

「わからないよ? 奈津希もいつか楽しいって思える日がくるかもしれないじゃない」

「ううん、絶対にない!」