「そうですけど嫌なんです、理人さんになにも返せていない自分が。仕事だから仕方がないのかもしれませんが、もっと自分の身体を大切にしてほしいですし、そのためにも周りの人をもっと頼ってほしいんです」

「野々花……」

 それが理人さんと一緒に働く人たちの願いでもあるから。

「もちろん理人さんの生活スタイルに関して口出すつもりはありません。ただ、食事と睡眠だけはしっかりとってください。……新婚なのに病院に泊まってばかりで不仲説まで流れているんですよ?」

「そうなのか?」

「はい。夫婦円満をアピールするためにも、家に帰れる時は帰ってきてください。お風呂に浸かって疲れをとることも大切です。それと食事管理も任せてもらえませんか? ひとり分を作るのもふたり分も作るのも変わりません。決して負担になんてならないですから」

 自分でもなぜこんなにも必死にお願いしているのか理解できない。……ただ、理人さんが心配なだけ。健康で仕事に取り組めるよう、私にできることならなんでも協力したいと思ったの。

 しかし理人さんは眉間に皺を寄せて考え込んでいる。