3年後離婚するはずが、敏腕ドクターの切愛には抗えない

「え、でも……」

「早く上がって娘さんを迎えに行ってあげてください。きっと先輩のことを待ってますよ」

 戸惑う先輩にそう言うと、「ごめん、ありがとう」と言って私に封筒を渡した。

「これくらいお安い御用です」

 ひとりで娘さんを育てるのは大変なはず。

「本当にありがとう。泉さん……じゃなかった。高清水さんが出産後も仕事を続けるなら、その時は私も協力するからね」

 そんな日はこないとわかっていても、善意で言ってくれている先輩には伝えられるわけもなく、「ありがとうございます」と返した。

「それじゃお願いします。お先に上がるね」

「はい、お疲れ様でした」

 作業を終え、先輩とは別れて入院病棟の五階へと向かう。

 高清水総合病院は一般病棟と入院病棟、それと救命室とがんセンターに分かれている。一般病棟と入院病棟は渡り廊下で繋がっているけれど、救命室とがんセンターはそれぞれ独立した建物になっているため、一度外に出なければならない。

 渡り廊下で繋がっているとはいえ、玄関にある会計窓口から向かうとなるとけっこうな距離がある。