3年後離婚するはずが、敏腕ドクターの切愛には抗えない

 喧嘩はしていない。ただ、私が言葉を間違えただけだと思う。鈴木君は友達として心配してくれていたのに、私が謝ったりしたからだ。

「そう? それならいいけど……」

 今度会ったら「ごめんね」じゃなくて、「ありがとう」と伝えよう。それと「理人さんとはうまくいっているから大丈夫だよ」とも。


「あぁー、今日の午後も予約患者が多いんだよね。いいなぁ、野々花、今日は入退院窓口担当で」

「でも退院予定の患者も多いから、こっちも大変だよ。それに入院予定の患者も多いし」

「たしかに会計だけじゃなくて説明もしなくちゃいけないからねぇ」

 そんな話をしながら食堂を出て荷物を置くために更衣室に向かっていると、遠くのほうで手術着姿の理人さんたちドクターが歩いているのが見えた。

「あ、高清水先生だよ、野々花」

 いつも病院で見かける彼は白衣姿が多いから、手術着姿は新鮮だ。だけど心なしか疲れている気がする。