「ありがとう鈴木君、心配してくれて。でも本当になにもないから大丈夫だよ。それに鈴木君ならわかるでしょ? 理人さんがどんなドクターなのか」
私はドクターである理人さんをほとんど知らない。知っているのは患者に寄り添い、誰よりも真摯に治療に取り組んでいると人伝いに聞いただけ。そんな私よりも彼の下で働く鈴木君のほうがきっとわかっているはず。
「そうだな、高清水先生は結婚したからといって、仕事スタイルを変えるような人じゃない。……俺が悪かった」
「ううん、そんな。私のためを思って言ってくれたってわかってるから。なんかここ最近、心配ばかりかけてごめんね」
「謝るなよ!」
大きな声に私はもちろん、奈津希も驚き鈴木君に目を向けた。
「悪い、大きな声を出したりして。俺は泉に謝ってほしくて言ったわけじゃないから」
「あ……うん、それはもちろんわかってるよ」
びっくりしながらも返事をすると、鈴木君はトレイを持って席を立った。
「この後、高清水先生のオペに助手で入るから、早く戻って準備するわ」
「う、うん。わかった。頑張ってね」
鈴木君は「サンキュ」と言ってこちらを見ることなく行ってしまった。
「え? なに、どうしたの? 鈴木君があんな大きな声を出すなんて珍しくない? 喧嘩でもした?」
「ううん、違うよ」
私はドクターである理人さんをほとんど知らない。知っているのは患者に寄り添い、誰よりも真摯に治療に取り組んでいると人伝いに聞いただけ。そんな私よりも彼の下で働く鈴木君のほうがきっとわかっているはず。
「そうだな、高清水先生は結婚したからといって、仕事スタイルを変えるような人じゃない。……俺が悪かった」
「ううん、そんな。私のためを思って言ってくれたってわかってるから。なんかここ最近、心配ばかりかけてごめんね」
「謝るなよ!」
大きな声に私はもちろん、奈津希も驚き鈴木君に目を向けた。
「悪い、大きな声を出したりして。俺は泉に謝ってほしくて言ったわけじゃないから」
「あ……うん、それはもちろんわかってるよ」
びっくりしながらも返事をすると、鈴木君はトレイを持って席を立った。
「この後、高清水先生のオペに助手で入るから、早く戻って準備するわ」
「う、うん。わかった。頑張ってね」
鈴木君は「サンキュ」と言ってこちらを見ることなく行ってしまった。
「え? なに、どうしたの? 鈴木君があんな大きな声を出すなんて珍しくない? 喧嘩でもした?」
「ううん、違うよ」



