3年後離婚するはずが、敏腕ドクターの切愛には抗えない

 私と彼は期間限定の夫婦になるだけで、愛し合って結婚するわけではないのだから。

 それから駐車場へと向かい、理人さんが運転する車でドレスショップへと向かった。


「大変お似合いです! 新郎様も惚れ直されると思いますよ」

 ウエディングドレスを試着した私を見て、スタッフがべた褒めしてきた。

 ハリ感のあるパリッとした生地のウエディングドレスは、胸元がレースでウエストからふんわりと広がるAラインのドレスは素敵だけれど、私に似合っているかがわからない。

「そうでしょうか?」

「はい! 新郎様は新婦様をとても愛していらっしゃいますから」

 一点の曇りもない笑顔で言われたら、ただ「ありがとうございます」としか言えない。

 理人さんはとにかく外では私を心から愛しているように接してくる。家族と職場だけかと思いきや、結婚式の打ち合わせの席でもそう。

 ピタリと私に寄り添い、スタッフの前でもお構いなしに愛しそうに見つめてくるからたまったものじゃない。

「お待たせいたしました」

 スタッフにカーテンを開けてもらい、待っていた理人さんの前に立つ。すると彼は立ち上がりジッと私を見つめた。

「あの、どうでしょうか?」

 やっぱりドレスに負けちゃっている? スタッフに勧められるがまま試着したけれど、違うドレスにしたほうがよかった?
 なにも言わない理人さんに不安を覚える。だけど次の瞬間、彼は目を細めた。

「とても似合ってる。……綺麗だよ」