どうしたの? と聞く間もなく奈津希は私の腕を引いた。
「終わらないなら私が代わりにやっておくから、野々花は早く上がって」
つい一分前にはドラマの放送を楽しみに帰ろうとしたのに、代わりにやっておくってどういうこと?
「ちょっと奈津希ってば、いったいどうしたの?」
ワケもわからぬまま貴重品が入ったバッグを私に渡すと、奈津希はニヤニヤしながらドアを指差した。
「ほら、早く帰らないと」
彼女の指さす方向に目を向けたら、開いたドアの先で白衣を脱いだ理人さんが小さく手を振っていた。
「理人さん?」
どうしてここに? 今まで一度も事務室に来たことなんてなかったのに。
戸惑いを隠せずにいると、理人さんは残っていた他の事務員に「お疲れ様」と言いながらこちらに向かってきた。
「仕事は終わった?」
「えっと……」
あと少しで終わりますと私が言うより先に奈津希が口を開いた。
「はい、野々花はちょうど今終わったところです!」
「ちょ、ちょっと奈津希?」
「お疲れ、野々花。また明日ね」
一方的に言って奈津希は私の背中を押した。
「終わらないなら私が代わりにやっておくから、野々花は早く上がって」
つい一分前にはドラマの放送を楽しみに帰ろうとしたのに、代わりにやっておくってどういうこと?
「ちょっと奈津希ってば、いったいどうしたの?」
ワケもわからぬまま貴重品が入ったバッグを私に渡すと、奈津希はニヤニヤしながらドアを指差した。
「ほら、早く帰らないと」
彼女の指さす方向に目を向けたら、開いたドアの先で白衣を脱いだ理人さんが小さく手を振っていた。
「理人さん?」
どうしてここに? 今まで一度も事務室に来たことなんてなかったのに。
戸惑いを隠せずにいると、理人さんは残っていた他の事務員に「お疲れ様」と言いながらこちらに向かってきた。
「仕事は終わった?」
「えっと……」
あと少しで終わりますと私が言うより先に奈津希が口を開いた。
「はい、野々花はちょうど今終わったところです!」
「ちょ、ちょっと奈津希?」
「お疲れ、野々花。また明日ね」
一方的に言って奈津希は私の背中を押した。



