3年後離婚するはずが、敏腕ドクターの切愛には抗えない

 元カレにも家までは送ってもらっていたけれど、こうして中に入るまで見届けてもらったことはない。それなのに……。
 優しい顔で手を振る姿に、まるで彼に大切にされている彼女のような錯覚に陥る。

 そんなわけないと自分に言い聞かせて小さく頭を下げ、足早に家に入った。彼に言われた通りに戸締りをして部屋の電気をつける。
 そのままベランダに向かい窓を開けて外に出ると、理人さんの車が去っていくところだった。

「本当に待っててくれたんだ」

 もう家は目と鼻の先だったのだから、帰ってもよかったのに。
 そう思う一方で、大切にされている気がして温かな気持ちで胸がいっぱいになる。

 恋愛に興味はない、女の人が嫌い。結婚にも理想がない人の言動とはとても思えないや。きっと患者さんたちが言っているように、クールな見た目とは違い優しい人なんだろうな。
 そんなことを考えながら夜風に当たっていると寒さを感じ、急いで部屋の中に入った。

 無事に挨拶を終え、あとは結婚式に向けて準備を進めるだけ。その前に明日も仕事だ。今日は疲れたし早めに寝よう。

 軽くシャワーを済ませ、すぐにベッドに入って眠りに就いた。理人さんが去り際に言っていた意味深な言葉をすっかりと忘れて……。