3年後離婚するはずが、敏腕ドクターの切愛には抗えない

 そう言いながらも、なぜか理人さんは電話に出ることなく私と両親を交互に見る。すると彼の父は深いため息を漏らした。

「患者のことだろう。家族といえど、患者の個人情報を晒すのは許されないことだと、お前が一番わかっているはずだ。私たちのことは気にせずに、早く電話に出てきなさい」

 それを聞いて、理人さんは私のことを心配して電話に出るのを躊躇っているのだと気づき、慌てて言った。

「どうぞ電話に出てください」

 私の話を聞き、理人さんは「すぐに戻る」と言ってリビングから出ていった。キッチンから家政婦が淹れた紅茶と焼き菓子を持ってきて、テーブルに並べている間はお互い口を閉ざしたままで、気まずい空気が流れる。

 並べ終えた家政婦が小さく頭を下げてリビングから出ていくと、彼の母が口を開いた。

「野々花さんといったかしら」

「はい、そうです」

「先ほど主人も言ったように、お義父様が野々花さんを理人の相手に認めたから受け入れるだけであって、私たちの思いは違うということをしっかりと覚えておいてください」

 会ってすぐに反対されているとわかってはいた。本当はここで「安心してください。三年後には離婚しますから」と言いたいところだけれど、理人さんとお互いの家族の前では仲睦まじい夫婦を演じると決めたんだ。