3年後離婚するはずが、敏腕ドクターの切愛には抗えない

二年半後――。

「ただいま」

 聞こえてきた理人さんの声に、目を開ける。

「あれ? やだ、いつの間にか寝ちゃっていたんだ」

 くまのぬいぐるみに寄りかかり、うたた寝していた私の腕の中には、スヤスヤと眠る一歳になる愛夢(あいむ)がいる。

「ただいま」

 玄関まで出迎えがなかったから、寝ていると思ったのか理人さんは小声で言いながら静かにリビングに入ってきた。

「おかえりなさい。すみません、寝てて」

「いいや、大丈夫。今日もお疲れ様。歩けるようになって愛夢を見るのがますます大変になったよな」

 理人さんは寝ている愛夢を起こさないようにそっとベビーベッドに運んでくれた。私も後を追い、ふたりで気持ちよさそうに眠る息子の寝顔を眺める。

「そういえば今日も父さんたちが来たんだって?」

「はい、おばあちゃんも一緒に連れて来てくれました」

 お義父さんとお義母さんはもちろん、祖母も理人さんの祖父も愛夢にメロメロだ。とくに理人さんの祖父が愛夢を溺愛していて、余命宣告された期限になろうとしているのに、前よりも元気になって医者たちは奇跡だと言っているらしい。