3年後離婚するはずが、敏腕ドクターの切愛には抗えない

「えぇ、世界で一番綺麗です」

 サラッと言った理人さんに、ホテルのスタッフは「幸せのおすそ分けをありがとうございます」なんて言う。

「それではごゆっくりお過ごしください」

「ありがとう」

 ホテルスタッフに代わって理人さんは車椅子を押して、最上階のレストランへと向かう。そして通された席は、私と理人さんが初めて言葉を交わした場所。

「懐かしいですね」

「だろ?」

 車椅子のまま席に着き、あることに気づく。

「あれ? この席のテーブルだけ低くないですか?」

 隣の席と比べて明らかに低い。

「気づいたか? 野々花が食べやすいように低いテーブルを用意してもらったんだ」

「そうだったんですね。ありがとうございます」

 こういったさり気ない優しさに、また好きって気持ちが大きくなる。
 予約してくれた料理も、あの日私が食べたコース料理だった。

「奢るって言ったのに、きっちりあの後バーで三万円返してくれたよな」

「もちろんですよ。自分の気持ちにケリをつけるためだったんですから」