３年後離婚するはずが、敏腕ドクターの切愛には抗えない

　愛情を注いでいるのなら、理人さんが望んでいない相手と結婚なんてさせないよね。

「理人さんが渡部さんのことを心から愛していて、彼女となら幸せになれると言うなら私は潔く身を引きます。でも、そうじゃないですよね？　理人さんは渡部さんとの結婚を望んでいないと私にはっきりと言いました。この先もそれは絶対にないとも」

　お義母さんは唇をギュッと噛みしめながらも、なにも言い返すことはなかった。

「たしかに私なんかでは、理人さんに釣り合わないことはわかっています。……でも〝私なんか〟と言うなって言ってくれた理人さんと一緒にいたい。いつも私に寄り添い、つらい時は支えてくれた理人さんには幸せになってほしいですし、幸せにするのは他の誰かではなくて、できるなら私でありたいんです」

「野々花さん……」

　初めて顔を合わせた時は、三年後に離婚するのだから嫌われていたっていいと思っていた。でも今は違う。

　好きな人のご両親には嫌われたくない、理人さんと一緒に彼のご両親と良好な関係を築いていきたいよ。