でもさっき、理人さんは渡部さんのことをほとんど相手にしていなかったよね。渡部さんと結婚するつもりはないと言ってくれた彼のことを信じてもいいのかな。……ううん、そう信じたい。
前向きに考えて自分を奮い立たせ、歩を進めた。
定時で仕事を終え、いつものスーパーに寄って大量の食材を買い込んだ。
「ちょっと買いすぎちゃったかな」
両手に持つエコバッグの中を見て、苦笑いしてしまう。
だけどご飯を出した時の理人さんの喜んだ顔を想像すると、自然と頬が緩む。
「早く帰って明日の仕込みをしよう」
マンションに到着し、玄関のドアを潜ると「おかえりなさい」と声をかけられた。聞き覚えのある声に足が止まる。
ゆっくりと声のしたほうに目を向けると、ロビーにあるソファから立ち上がったのはお義母さんだった。
「お久しぶりね、野々花さん」
「あ……お久しぶりです」
思いがけない来訪者に一気に緊張が高まる。急いで駆け寄り、頭を下げた。するとお義母さんは私を上から下まで見る。
「あなたの仕事は誰にだってできるものなのに、まだ続けていたのね」
チクリと嫌味を言い、今度は私が手にしている袋に目を向けた。
「料理だって家政婦に任せればいいものを……」
「理人さんに栄養のあるものを私が作ってあげたいんです」
これにはすかさず言い返すと、お義母さんは顔をしかめた。
前向きに考えて自分を奮い立たせ、歩を進めた。
定時で仕事を終え、いつものスーパーに寄って大量の食材を買い込んだ。
「ちょっと買いすぎちゃったかな」
両手に持つエコバッグの中を見て、苦笑いしてしまう。
だけどご飯を出した時の理人さんの喜んだ顔を想像すると、自然と頬が緩む。
「早く帰って明日の仕込みをしよう」
マンションに到着し、玄関のドアを潜ると「おかえりなさい」と声をかけられた。聞き覚えのある声に足が止まる。
ゆっくりと声のしたほうに目を向けると、ロビーにあるソファから立ち上がったのはお義母さんだった。
「お久しぶりね、野々花さん」
「あ……お久しぶりです」
思いがけない来訪者に一気に緊張が高まる。急いで駆け寄り、頭を下げた。するとお義母さんは私を上から下まで見る。
「あなたの仕事は誰にだってできるものなのに、まだ続けていたのね」
チクリと嫌味を言い、今度は私が手にしている袋に目を向けた。
「料理だって家政婦に任せればいいものを……」
「理人さんに栄養のあるものを私が作ってあげたいんです」
これにはすかさず言い返すと、お義母さんは顔をしかめた。



