それに比べて鈴木の前では緊張している様子はなく、随分と気を許しているのが表情から読みとれる。
俺は本当に契約上の夫婦でしかないんだな。契約結婚をしたのだから当然のことなのに、野々花の笑顔を見ていると胸が苦しくなる。
ひとしきり笑い合った後、ふたりはこちらに向かってきたから、急いで歩を進めていく。
そして医局近くまで来た頃、足を止めた。
「別に急いでくることはなかったよな」
たまたまその場に居合わせただけなのだから、堂々と声をかければよかったんだ。それができなかったのは、自分でも今の感情に戸惑っているからだと思う。
そもそも契約結婚をする上で、互いに不貞は禁止と約束したはずなのに、病院で男とふたりっきりになるのはどうなんだ? それもあんな親しげに。
落ち込んだり胸が苦しくなったり苛立ったりと、様々な感情に襲われて心が落ち着かない。
「だめだ、一度頭をリセットしよう」
廊下大きく深呼吸をして、これから執刀するオペのことで頭をいっぱいにする。
「よし、いくか」
気合いを入れて更衣室で手術着に着替えた。
オペを無事に終え、その日の業務終了後はすぐに岐路につく。
帰ったらきっと野々花が夕食を準備してくれているはず。まずはふたりでいつものように食べて、そして落ち着いてから天音のことを野々花に伝えよう。
俺は本当に契約上の夫婦でしかないんだな。契約結婚をしたのだから当然のことなのに、野々花の笑顔を見ていると胸が苦しくなる。
ひとしきり笑い合った後、ふたりはこちらに向かってきたから、急いで歩を進めていく。
そして医局近くまで来た頃、足を止めた。
「別に急いでくることはなかったよな」
たまたまその場に居合わせただけなのだから、堂々と声をかければよかったんだ。それができなかったのは、自分でも今の感情に戸惑っているからだと思う。
そもそも契約結婚をする上で、互いに不貞は禁止と約束したはずなのに、病院で男とふたりっきりになるのはどうなんだ? それもあんな親しげに。
落ち込んだり胸が苦しくなったり苛立ったりと、様々な感情に襲われて心が落ち着かない。
「だめだ、一度頭をリセットしよう」
廊下大きく深呼吸をして、これから執刀するオペのことで頭をいっぱいにする。
「よし、いくか」
気合いを入れて更衣室で手術着に着替えた。
オペを無事に終え、その日の業務終了後はすぐに岐路につく。
帰ったらきっと野々花が夕食を準備してくれているはず。まずはふたりでいつものように食べて、そして落ち着いてから天音のことを野々花に伝えよう。



