3年後離婚するはずが、敏腕ドクターの切愛には抗えない

 中庭を利用するのはほとんどが患者やその家族。よってここは常にひと気がない。

 周囲に誰もいないことを確認し、祖父に電話をして事の経緯を説明した。祖父も天音が帰国していたことを知らなかったようで、両親に対して激怒していた。

 すぐに父に抗議をしてくれると言っていたので、祖父に任せておけば安心だろう。父が祖父の話を素直に聞いてくれるかはわからないけど。

 小さなため息をひとつ漏らし、気づけば休憩時間も残りわずかなことに気づいた。午後はオペが入っている。
 急いで戻ろうとした時、中庭にいるふたりに目が釘付けになる。

「野々花……?」

 一緒にいるのは研修医の鈴木だよな? そういえば前にも食堂で見かけた時、食事を共にしていた気がする。
 だけど前は他にも友人がいたはず。なぜ今日はふたりなんだ?

 彼女への気持ちを自覚したからか、気になって仕方がない。親しげな雰囲気に苛立ちが募る。

 友人同士にしては距離が近すぎないか?
 なにを話しているのか気になるけれど、当然ここからは聞こえない。すると次の瞬間、野々花は笑いだした。その笑顔は遠目に見ても愛らしい。そしてなにより鈴木と話しているのが楽しそうだった。

 俺と一緒にいる時はあんな笑顔を見せてくれたことがあっただろうか。俺の前ではどこか緊張しているところがあった。