3年後離婚するはずが、敏腕ドクターの切愛には抗えない

 それが数年も続くとさすがの俺も参ってしまい、両親もやっと天音が普通じゃないと理解してくれた。警察に相談したものの、実際に被害を受けていない以上、警察は動くことはできないと言われてしまった。

 それならば……と、祖父が天音に「理人と一緒になる気があるなら、もっと専門的な勉強をしたほうがいい」と言葉巧みに説得し、アメリカへの臨床研修留学をすすめたのだ。

 祖父の知り合いに心療内科に精通したドクターがいる病院に留学してもらい、そこで治療もしてもらえるようになった。

 祖父の話では天音は医師としては優秀で、心療内科にも欠かさずに通っていると聞いていた。しかし帰国はまだまだ先だとも聞いていたのに……。

 最上階にある院長室のドアを数回ノックし、返事を待たずに勢いよく開けた。

「父さん、どういうことですか!?」

「なんだ、急に入ってきて大きな声を出して」

 俺とは違い冷静な父さんは、書類からチラッと俺を見る。

「大きな声も出るでしょう! どうして天音をうちの病院で雇ったんですか? 父さんも知っていますよね? 天音が俺にしたことを!」

 怒りを抑えきれず、大きな声で責め立てる。