天音の手を握り返すことなく、近くで戸惑っている同僚に「医院長室に行ってくる」と告げて医局を後にした。
天音とは親同士の親交が深く、同い年ということもあって昔からよく会っていた。子供の頃は純粋に天音と遊ぶのが楽しかったが、少しずつ変化していった。
中学校、高校、大学と進むたびに、天音が俺に執着していった。最初に告白されたのは、中学三年生の時。
俺にとって天音は幼なじみでそれ以上の感情はなく、今後も良き友人でいたいと思った。それを素直に伝えたら、天音は「わかった、これからも友達でいいからそばにいさせてね」と理解してくれた。
だけどそれは俺の思い違いで、彼女はまったく理解などしてくれていなかったのだ。
俺が自分以外の女子と少しでも話すものなら、その女子に対して執拗に嫌がらせをしていたのだ。
それを友人伝いに聞いた時は耳を疑った。本人を問い詰めてもシラを切るばかりで、認めない。
それなら女子と話さなければいいだけと思い、できるだけ女子との接触を断った。すると今度は「私のために他の子と話さないでくれたんだ」「やっぱり理人も私のことが好きだったんだね」と勘違いされてしまった。
何度も告白され、その度に断っても諦めてくれない。しまいには両親をも巻き込んできて、「天音ちゃんと付き合えばいいじゃない」「同じ医者を志す者同士、分かり合えることがたくさんあるはずだ」などと言われてしまった。
天音とは親同士の親交が深く、同い年ということもあって昔からよく会っていた。子供の頃は純粋に天音と遊ぶのが楽しかったが、少しずつ変化していった。
中学校、高校、大学と進むたびに、天音が俺に執着していった。最初に告白されたのは、中学三年生の時。
俺にとって天音は幼なじみでそれ以上の感情はなく、今後も良き友人でいたいと思った。それを素直に伝えたら、天音は「わかった、これからも友達でいいからそばにいさせてね」と理解してくれた。
だけどそれは俺の思い違いで、彼女はまったく理解などしてくれていなかったのだ。
俺が自分以外の女子と少しでも話すものなら、その女子に対して執拗に嫌がらせをしていたのだ。
それを友人伝いに聞いた時は耳を疑った。本人を問い詰めてもシラを切るばかりで、認めない。
それなら女子と話さなければいいだけと思い、できるだけ女子との接触を断った。すると今度は「私のために他の子と話さないでくれたんだ」「やっぱり理人も私のことが好きだったんだね」と勘違いされてしまった。
何度も告白され、その度に断っても諦めてくれない。しまいには両親をも巻き込んできて、「天音ちゃんと付き合えばいいじゃない」「同じ医者を志す者同士、分かり合えることがたくさんあるはずだ」などと言われてしまった。



