3年後離婚するはずが、敏腕ドクターの切愛には抗えない

 ただの幼なじみじゃない、きっと特別な関係だ。本命は私じゃなくて渡部さんなんじゃないかって噂が流れる日もそう遠くないかも。

「とにかく泉は大丈夫なんだな?」

「うん、平気」

 私の話を聞き、鈴木君の表情が和らいだ。

「そうだよな、今日も高清水先生は泉が作った弁当を美味しそうに食べていたし、俺が心配しすぎたみたいだ。何度も言っているけど、なにかあったらいつでも頼れよ?」

「うん、ありがとう」

 ごめんね、鈴木君。心配してくれているのに本当のことを言えなくて。でも契約結婚の話はするわけにはいかないもの。

 病院では夫婦円満でいると約束したのだから、私はただ、理人さんのことを信じていると演じればいい。

「それにしても親友の一大事に、二岡は呑気に有休だなんて。本当にタイミングが悪いな」

「たまたまだよ」

「いーや、そんなことない。これが俺だったらあいつ、ここぞとばかりに責めてくるぞ?」

 嫌悪感たっぷりに言う鈴木君だけれど、その時の状況が鮮明に浮かんで思わず笑ってしまった。

「アハハッ。たしかに奈津希ならあり得るね」

「そうだろ? 二岡は昔からそういうやつだった」

 私につられた鈴木君とひとりしきり笑った後、彼は真っ直ぐに私を見つめた。