３年後離婚するはずが、敏腕ドクターの切愛には抗えない

　私が彼に声をかけた理由、正直に話してもいいのだろうか。でもどう誤魔化したらいいのかわからないし、そもそも話を聞いてこっちから契約結婚を持ちかけたって、断れる可能性が高い。
　私では自分と釣り合わないと言われたら、「わかりました。図々しい提案をしてしまい、すみませんでした」と言ってこの場を去ればいい。

　そう心に決めて、私の答えを待つ彼を見つめた。

「三年間、夫婦でいる結婚相手は私ではだめでしょうか？」

「えっ？」

　目を見開く高清水先生に、早口で捲し立てた。

「実はずっと長年付き合ってきた結婚間近の恋人に振られたばかりで……。でも、家族には来月恋人と一緒に挨拶に行くと言ってしまったんです。その時、すごく喜んでくれたのに、悲しませたくないですし安心させたいんです。それに私、しばらくは恋愛なんてこりごりですし、高清水先生の言う利害の一致だと思い、思い切って声をかけさせていただきました」

「なるほど」

　どうやら、突然声をかけた理由には納得してくれたようだ。あとは彼から断ると言われるのを待つだけ。