3年後離婚するはずが、敏腕ドクターの切愛には抗えない

「さようでございますか? ですが、先ほどのようなことになったら大変です。もしなにかございましたらお申し付けください」

「ありがとうございます」

 お礼を言ってエレベーターホールへ向かい、すぐに到着したエレベーターに乗り込んだ。
 最上階に着くと同時に急いで部屋に入った。小さなため息とともに玄関先にある大きな鏡に映る自分を見ると、今にも泣きそうだった。

「なにこの顔。早くどうにかしないと理人さんが帰ってきちゃう」

 それにご飯を作らないと。なんのために祖父からの誘いを断ったのよ。
 そう自分に言い聞かせてキッチンへ向かい、材料を冷蔵庫にしまって調理に取りかかる。

 だけど包丁を持つ手はすぐに止まり、まな板に乗っている玉ねぎをぼーっと見つめてしまう。

 まさかこんなかたちで自分の気持ちに気づくなんて思わなかった。……ううん、本当はもっと前から恋愛感情は芽生えていたのかもしれない。

 一緒にいると楽しくて心地よい。この時間がずっと続けばいいのにと思った時点で好きになっていたんだ。

「絶対にバレないようにしないと」

 私の感情は彼を困らせるだけだ。それどころか、気づかれたら契約違反だと言われ、すぐに離婚されてしまうかもしれない。