3年後離婚するはずが、敏腕ドクターの切愛には抗えない

「どんな手を使ってでも、必ず理人と離婚させるから覚悟しておきなさい。……せいぜいその安っぽい料理で理人の興味を引いていたらいいわ」

 声高らかに笑って渡部さんは「また明日ね」なんて意味深なことを言い、颯爽と去く。

 まるで嵐が過ぎ去ったような衝撃に、なかなか動くことができない。

 すごい人だった。でもこれで渡部さんは理人さんに好意を寄せていることがはっきりとわかった。

 彼女に会うまでは理人さんも想いを寄せているのかもしれないと思っていたけれど、彼は渡部さんのあの姿を知っているのだろうか。

 いくら理人さんのことが好きだからといっても、あの態度はあんまりだ。彼女の性格を知っていても好きだと言うなら、理人さんに幻滅してしまいそう。

 いや、好みは人それぞれ。理人さんは渡部さんのような女性がタイプなのかもしれないし。それはそれでショックだけれど、私にはどうすることもできない。

 どうしてこんなに胸が痛んで泣きたくなるのか。それがわからないほどバカじゃない。

「どうしよう、契約違反しちゃった」

 私は理人さんのことが好きなんだ。絶対に好きにならないと約束をしたのに、好きになってしまった。

「大丈夫でしたか? 高清水様」

 一部始終を見ていたコンシェルジュが心配そうに声をかけてきた。

「今後はいらっしゃってもお通ししないようにいたします」

「いいえ、大丈夫です。……主人の知り合いですので」

 この先、渡部さんがこのマンションに理人さんと住むことになるかもしれないのだから。