「ありがとう、おばあちゃん。いただきます」

「お気遣いいただき、ありがとうございます。甘い物は好きなので嬉しいです」

 理人さんは祖母の好意を無下にせず、ぺろりとケーキを二個食べてしまった。私も食べないわけにはいかなくなり、食べる様子を眺める祖母の機体に応えるように美味しく完食した。

「おばあちゃん、すごく美味しかったよ。ごちそうさま」

「いいえ、喜んでもらえてよかったわ。あ、紅茶のおかわり持ってくるね」

 祖母は足どり軽く台所へ向かっていく。

「すみません、理人さん。ケーキを二個も食べてもらっちゃって。この後、ご飯も出てきますが大丈夫ですか?」

 祖母がいない隙に小声で聞くと、理人さんは首を横に振った。

「よくオペ前に高カロリーな物を食べているせいか、甘い物は本当に好きなんだ。それにまだ余裕があるから大丈夫だよ。せっかく用意してくれたんだ。できるだけ食べるつもりさ」

 そう言ってくれるのはありがたいけれど、祖母が張り切ると昔からかなりの量を作っていたから、今日も三人では食べきれないほど作った気がする。

「祖母のことを気遣ってくれて嬉しいですが、無理はしないでくださいね? 明日は理人さんのおじい様に会いに行くんですから」