君が好きなだけ。

15時を過ぎて、すこし経った今。やっとお客さんの足も遠のき、再びゆっくりした空気が流れる。




「彩海ちゃんおつかれ〜!」



香純(かすみ)さん!おつかれさまです!」



香純さんは、私がここに入ったばかりの時の指導係をしてくれた人。優しくて面白くて、大好きな先輩。



「今日何時まで?」



「シフトは16時までなんですけど、17時に迎えに来てくれることになってるので、ここでケーキ食べてから出ます!」



「お〜。相変わらず優しいね〜」



言われながら照れくさくなる。今日、隆は式の後部活があったけど、16時過ぎに終わるから迎えに行くと言ってくれた。一応、その後デートの予定。



付き合って9ヶ月。変わらず、付き合う前からずっと同じように接してくれる。優しくて明るくて真面目な人。









あの人とは違う…………。











「お疲れ様でした〜」



スタッフルームを出て、空いてる窓際の席に座る。眩しくない程よい夕陽が照らしてくれるテーブル。



「今日どうしよっかな、」



この後2人で夜ご飯食べに行こって話してたから、なるべく軽めのがいいな……。



「相席いいですか?」



「え、」



相席ってどういうこと!?



初めて言われた言葉に顔を上げると、目の前にはさっきで会うのは終わりだと思っていた彼……。



「……え、」



「久しぶり。彩海」



あの頃より大人びた顔だけど、笑った時の目の優しさが変わってない。



「……燈馬、」



「相席するね」



無言が続く。



ケーキ選ぼうにも、目の前に座る人が気になって、集中できない……。



「注文決まった〜?……え、」



香純さんが注文を取りに来てくれたんだけど、私だけのはずのテーブルに、燈馬がいるのにびっくりしてる、って目で訴えかけてくる。……私もしてます。



「えっと……、紅茶のシフォンケーキで、お願いします、」



「あとアイスコーヒー1つ」



しれっと頼んでる……。



そんな、なんだコイツ、みたいな目で見ていいんですか、香純さん……。