君が好きなだけ。


「……連絡取れなくなって、心配した」



「……ごめん、」



「新しいの教えてよ」



「……うん、」



そりゃ、そうだよね。また新しく追加されたTomaのアカウント。懐かしい……。



アイコンは、私が撮った燈馬の後ろ姿から変わってない。




「俺、まだ彩海のこと好きだよ」



……っ。急に爆弾投げないでよ、



「彩海にどんな考えがあって、連絡先変えたり志望校変えたりしたのかはわかんないけど、俺はずっと彩海が好きだよ」



「……。ごめん、」



ごめん、しか言えない。だって、酷いことした自覚はあるから。




でも、あの時はこうするのが1番いいと思ったんだ。燈馬にとっても、私にとっても。



「……俺、志望校受かったって真っ先に伝えたかったんだ、彩海に」



「……うん、」



「電話何回しても繋がらなくて、LINEしてもいくら待っても既読にならなくて、塾にも行ったけどいなくて、」



「……うん、」



「彩海と同じ中学だった奴らとか、同じ志望校だった奴らに聞き回ったけど、知らないって言うし、受験会場で見かけてもないって言うし、本当に焦った」



「次の日も次の日も、ずっと連絡待ってたけど、一向に変わらなかった……」








「あの日からずっと、探してたよ」




「……、ごめんね」





つくづく酷い人間だなって思う。
身勝手でわがまま……。






「あれが、私たちにとって最善だと思ったから」



「……今も、そう思ってる?」



「うん、あの時はあーして正解だったって、思ってるよ」



「……」



「お待たせしました」



丁度タイミング良くか悪くか来てくれたケーキ。



「いただきます」



アールグレイティー風味の生クリームと、シフォンケーキを口に運ぶ。……変わらず美味しい。



まさか、燈馬と食べることになるとは思わなかったけど。



「……ねぇ、一口ちょうだい」



ケーキを口元に運ぶ手を止めて燈馬を見ると、フォークを持つ私の手をとって、自分の口に運んで行った。




……え、




「……うま」



いや、うまじゃない。



「どうして……」




「食べたかったから。あと、





俺を一切見ずにケーキばっかの彩海にちょっとムカついたから」




……っ、どんな嫉妬だよ、



文句言いたいし言わなきゃいけない気がするのに、言えない。




これ以上、燈馬には食べさせない。



謎の闘争心が湧いて、パクパク食べ進める。



……その姿を、あの頃と同じ優しい眼差しで見てくる燈馬の視線を受けながらも完食した。



「関節キス」



「……あ、」




すっかり忘れてた。



「そういうの気づかないの、変わんないね」




仲良くなったばかりの、私のお弁当の唐揚げを食べた時もそう言った。一緒にアイス食べた時も。一緒にフラペチーノ飲んだ時も。




「……そうだね、」