――――長い



 夢を見ていた、気がする。



 それは毎日がずっと夜で

 独りの女の子と

 僕しかいないで


 いろいろ話すんだ。


 大切なことを教えてもらって
 大事なことを思い出して



 もう、大丈夫だよね?



 そう信じてもらえたから
 信頼に応えられたから

 お別れの時がやってきた。



 女の子は、自分の場所に帰った

 ずっと下に居たから

 帰ってこいって

 昇っていった。





 空を見た。


 たくさんの星のなかに

 真ん丸お月さま。

 さく――

  そこにいるんだよね?


 さくは朔

 見えないお月さま

 いまも、そこから
 見ててくれるのかな?







「にゃ〜」





 歩きだす、その前に

 もう一度だけ振り返る。



 ――ねぇ。さく。

 僕のお月さま。


 ぼくは、いるよ?





 ――ここに、いるよ。――









Fin