私の大切なもの

こういう時に限って時間が経つのが早い


すぐ啓太先生が帰ってきた


「おまたせ、じゃあ準備しようね」


一緒についてきた看護師に指示を出しながら準備を進めた


「さなちゃん、すっごく緊張してるね、眉間にシワ寄ってるよ笑」


準備をしながら、私を見て笑った


「当たり前だよ、こんなの緊張するよ」


「大丈夫、リラックスだよ」


いやいやリラックスできないよ


まぁでも深呼吸だけしとくか


「スーハースーハー」


呼吸を整えているとドアが開いた


「遅くなってごめんな」


お父さんがやってきた


「お父さん!なんで??」


「あ、僕が呼んだんだよ、渡辺先生が補助してくれるって言ったから」


「そうそう、さな痛いと思うけど頑張ろうな」


「う、うん」


「よし、始めましょう、じゃあさなちゃんベッド倒すね。渡辺先生はさなちゃんの頭を、山本さんは僕の補助をお願いします。さなちゃん、手動かしたら危ないから絶対動かさないでね」


「うん」


「管が喉まで来たらごくごくしてね、じゃあ入れるよ」


管が鼻に入っていく


苦しいし痛い


「さなちゃん痛いね〜、喉まで来たからごくごくしてね〜ここ終わればもう苦しくないよ」


でも私は苦しくて我慢できなくて、啓太先生の手を掴み顔を動かしてしまった


「こら、なにしてんの!手も顔も動かしたら危ないからダメって言ったでしょ?
山本さん、さなちゃんの手押さえててもらえますか?」


「分かりました」


怒られた挙句、顔も手もがっちりホールドされてしまった


「さなちゃんもう喉来てるからごくごく頑張るよ」


涙が出てきた


でもいつまでも終わらないのは嫌だから頑張ってごくごくした


喉をチューブが通過したのがわかった


「よし終わり!さなちゃんよく頑張ったね〜、もう痛いのないから大丈夫だよ〜」


「うん、痛かったー…」


「痛かったね、でも頑張れてたよ、えらいえらい」


啓太先生は私の頭を撫でてくれた


「じゃあ今から栄養剤入れてくからね、何かあったら教えてね、じゃあまた来るね」


啓太先生と看護師は病室を出て、お父さんだけが残った


「さな、おつかれ!チューブ早く外せるようにご飯少しずつでも食べていこーな」


「うん、頑張る」


「うん、えらいぞ、でも無理は禁物だからな?」


「はーい、気をつけまーす。あ、お父さんまだ仕事でしょ?戻っていいよ?」


「そうだった!あ、でもさなが寝てから行くわ、疲れただろ、少しでも寝ときな」


「うん、ありがと、じゃあおやすみ」


「おやすみ」


お父さんのニッコリした顔を見たあとすぐ目をつむって眠りについた