いつも通りお見舞いに来た私たちはお母さんの手をずっと握っていた

ピクッ

指が少し動いた

「お母さん?」

目がゆっくり開かれた

みんなを見ると

「お父さん、ゆうが、さな、ごめんね、迷惑かけちゃったね」

「そんなことないぞ、よかった目が覚めて」

そうお父さんが言うと、お母さんはバツが悪そうな顔を私たちに見せ、口を開いた

「うん、でもごめんね。もう私長くない」

「え、お母さんどうゆうこと??」

「さな、お母さんもういなくなっちゃうの」

もう自分は生きていられないと確信しているように話している

「なんで?どうゆうこと?ううっいやだよお母さん」

私は泣き出してしまった

お母さんはそんな私を見て、私のほほにそっと手を置き、涙を1粒流した

「ごめんね、最後まで守れなくて」

「大丈夫だ、俺がいる、さなをちゃんと守るから大丈夫だよ、りお」

お父さんもお母さんの頭を撫でながら泣いている

「母さん、俺もいるから!大丈夫だよ」

ゆう兄もお母さんの手を力強く握って涙を流していた

「ゆうが、すごく頼もしくなったね。ゆうがが成長していく姿、ちゃんと上で見てるからね」

お母さんはまた私の方を振り返って

「ううっ、おかあさーん」

「さな、お母さんすっごくさなのこと好きだよ」

「さなも…さなもお母さん大好きだよ」

泣いているから上手く言葉が出なかった

最後にはみんなの顔を焼き付けるように見て

「ゆうがもお父さんも大好きだよ、さなをよろしくね」

そう言ったあと

ピー

心電図のアラームがなった

すぐに医者が来て確認したあとアラームを消し、時計を見た