それから、一時間後……。

熱が下がったコナンは、このまま帰ることになった……。

「家に電話して迎えに来てもらおうか?誰か家にいる?」
「あ、大丈夫です……自分で帰れるから……」
「本当に大丈夫?」
「大丈夫、大丈夫!」

そう言って、コナンは小林先生が持ってきてくれたランドセルを背負って、帰路についた……。

帰り道……時計を見るコナンは、困っていた……。

まだ、12時前……。

今帰れば、余計な心配させてしまう………。

そう、思ったコナンは一度…阿笠博士の所に寄ることにした……。



「おお!どうしたんじゃ、新一君……まだ、学校のはずじゃろ?」
「ああ、そのはずなんだけど………」

コナンは博士に、熱が出て早々に学校を早退させられたあらましを話した。

「大丈夫か!?」
「大丈夫、大丈夫…ただの風邪だと思うし………だから、学校が終わる時間になるまでここにいさせてくれないか?蘭やおっちゃんに、余計な心配させたくないし……」
「それは、構わんが……寝てなくていいのか?」
「平気だって……もう、熱は下がったから!」

そう言って、平気な素振りを見せるコナンに…博士は、多少なり心配していた。



それから、数分して灰原から一本の電話が入り……“早く帰りなさい!どうなっても知らないわよ!”と、コナンに脅しまがいの言葉を投げつけ、泣く泣くコナンは毛利探偵事務所へと帰っていった。

「はぁ~~」

コナンは、ため息を吐きながら……隠れるように、探偵事務所を通り抜け…忍び足で自宅に戻って行った。

その行動を知っているかの様に、玄関のドアを開けたコナンを睨みながら、蘭が出迎えた。

「コナン君、聞いたわよ………早退したんなら、まっすぐ帰って来なきゃダメでしょ!!」
「ごめんなさい………」

蘭の心配が混じった怒りに驚きながら、コナンは蘭に手を引かれ寝室へ連れられた。

「眠くないよ……」
「何言ってるの!?さっきまで熱があったんでしょ!?大人しく寝てなさい!夕飯になったら、迎えに来るから!分かった!?」
「はい……」

蘭の強引な言動に、コナンは渋々返事をするしかなかった。

「まったく……」

半分呆れながら、でも…元気そうなコナンを見る蘭は、少なからず安心していた。

だけど………。

その夜。

これから始まる長い戦いの幕開けになる事が起こるなんて、この時は蘭もコナン自身も思ってはいなかった……。