初恋を拗らせたワンコ彼氏が執着してきます

 ふたりの生活をあれこれ想像して、わくわくとしている彼の表情に唯花は満たされた気持ちになる。

 彼が幸せなら自分も幸せでいられる。それが愛してるということなのだろう。

「透くん、このベッドいい感じじゃない? 寝心地もよさそうだよ」
 
 唯花はベッド売り場で寝室にちょうど良さそうなシンプルなデザインのベッドを見つけ、手で押しながらスプリングの弾みを確かめる。

「どれどれ。お、いいかも」
 透はベッドに腰掛けて言ったのだが急に何かに思い至ったようだ。

「……でも、ちょっと広すぎるかな」
「そう? あの寝室にはちょうどいい大きさだと思うけど」
 
 新居のマンションの間取りはかなり余裕があり、寝室も広かったはずだ。

「広いのにすると、今みたいにくっ付いて寝れなくなることに気付いてしまった……あのベッド持っていく?」
「もう……前に狭いから買い替えようって言ったの透くんなのに」
 言いながら、唯花の顔に熱が集まってくる。
 
 今も彼は時間を作っては平日週末問わず唯花の家にやってくる。
 そして必ずあの狭いベッドで唯花を抱きしめて眠る。

「……広くても、くっついて寝ればいいでしょ?」