(俺にとって、あなたは女神なんだよ――唯花さん)
 そう言うと唯花が困るのがわかっているから言わないが、透は心の底からそう思っている。

 たまには着飾った恋人と外でデートもしてみたい。
 きっと大人っぽいドレスも似合うだろう。メイクで彼女の良さを強調したらきっと目を惹く存在になる――他の男の目に晒すことを考えると複雑になるが。

(妄想に嫉妬するくらいあなたのことが好きで堪らないんだよ)

 恋人でありながら、唯花が自分と距離を取ろうとしていることは分かっている。
 きっと年齢のことを気にしているのだろう。
 そんな彼女に透が親会社の社長の養子でゆくゆくは後継者になると知られたら。

(奥ゆかしい彼女は釣り合わないとか言って音速で俺から離れようとするだろうな。だから完全に彼女を落とすまで俺の身の上は隠しておきたいと思っていたけど……)

 透が思いを巡らせながら窓の外を眺めていると、ベッドの上のスマートフォンが着信を告げた。
 一瞬唯花と期待するが、表示された名前は違うものだった。

「――はい」
『お父さんに向かってそんなテンションの低い声出さないで欲しいなぁ』
「実際低いんだから仕方がないです。社長」