驚いた声を出した愛奈が透にすがろうとするが、彼はそれを避けて唯花の横に立った。
「それより、佐山さんちょっといいですか?」
言うなり透は唯花の右手首を掴むと、強引に引っ張って立ち上がらせた。
「え、えっ?」
唯花は驚くが、力が強くて抗うことができない。
「待ってよ!」
叫ぶ愛奈とぽかんとする島津を尻目に、透は唯花の手首を掴んだまま居室を出て早足で廊下を進む。
「折原くんっ、とりあえず止まって!」
頼んでも彼は無言のままだ。あっという間に唯花は非常階段の踊り場まで連れ込まれてしまった。
人感センサーで灯った蛍光灯がふたりを控えめに照らす。
「折原君?」
「――何であんな密室で島津さんと接近してるの」
透は唯花を離すと囲うように壁に手を突いた。
「え、密室って、折原君もおなじみの打ち合わせコーナーでしょ」
居室内を簡易的に衝立で区切ってあるだけのスペースはとても密室とはいえない。
キミも質問と称してやってきてよくあそこで話をしたではないか。
「それより、佐山さんちょっといいですか?」
言うなり透は唯花の右手首を掴むと、強引に引っ張って立ち上がらせた。
「え、えっ?」
唯花は驚くが、力が強くて抗うことができない。
「待ってよ!」
叫ぶ愛奈とぽかんとする島津を尻目に、透は唯花の手首を掴んだまま居室を出て早足で廊下を進む。
「折原くんっ、とりあえず止まって!」
頼んでも彼は無言のままだ。あっという間に唯花は非常階段の踊り場まで連れ込まれてしまった。
人感センサーで灯った蛍光灯がふたりを控えめに照らす。
「折原君?」
「――何であんな密室で島津さんと接近してるの」
透は唯花を離すと囲うように壁に手を突いた。
「え、密室って、折原君もおなじみの打ち合わせコーナーでしょ」
居室内を簡易的に衝立で区切ってあるだけのスペースはとても密室とはいえない。
キミも質問と称してやってきてよくあそこで話をしたではないか。



