「今日も高瀬(たかせ)くんはかっこいいなぁ」



私、田宮(たみや)りず。
高校2年生。

高瀬凌央(りょう)くんに本気の恋をして、早1か月。


名前さえ知らなかった男の子の名前を知り、クラスまで突き止めることができたんだ。


そして、今は日課となっている登校してきた高瀬くんを教室の窓から眺めているところ。



「毎日毎日、飽きないわね」



呆れ顔で声をかけてきたのは、私の一番仲良しの松方彩(まつかたあや)ちゃん。


黒髪ロングの綺麗系な頼りになるお姉さん的存在。


その彩ちゃんにニコッと笑顔を向けて、もう一度高瀬くんに視線を移す。


今までの恋はただ遠くから見てキャーキャー騒ぐのが楽しかった。

それだけで良かった。


だけど今思えば、それは好きじゃなくて憧れだったのかもしれない。

だって、今は高瀬くんにどうしても振り向いてほしいし、姿を見たらドキッとするのと同時に胸が苦しくなるほど痛くなる。


本気の恋は、楽しいだけじゃ終わらない、と身を持って実感中。