負けヒロイン

「弟の金を奪う姉がいてたまるか」   つかさずツッコまれる。前々から思っていたが、どこで覚えたんだその小1が言うには妙に大人地味た発言は、私が小1の時に『ガチ』なんて言葉使ってないぞ…いやはや最近の小学生は末恐ろしい。そんな事はさておき、今重要なのは、何とかして芽郁たちを避けなければならない。幸いこの祭りの主催地である神社は、そこそこの広さがある。よりによって、ピンポイントに二人に会う訳がない…はず!!          あーだこーだ考えていると、不意に浴衣の裾を引っ張られる。目線を落とすとそこには、ニヤニヤと意味ありげに笑う弟がいた。妙に生意気なその顔に私はムッとして、語気を強めるようにして話す。