壱矢とあんなに関わりたくなくて、あんなに距離を取ろうとしていたのに、友達も知り合いも越えて彼女ポジションを主張しているだなんて。
一緒に住み始めることになった当時の私に言ったら、ひっくり返って魂が抜けるかもしれない。
だが、あの頃より壱矢との距離が近いことも、壱矢の印象が違っている事も、今の私には不快に思う材料ではなくなっていた。
嘘をつく事に気が進まないだけで、壱矢との今の立ち位置に不満など感じていなかった。
胸を張って自己紹介をした私を、Aさんが上から爪先までがっつり見ている。
「ねぇ、もしかして斎賀さんって男子が噂してる子じゃない?一年ですっごい可愛い子が入ったって騒いでたじゃん」
「あー、その子かぁ、うわさの。へーぇ、ほんとに可愛いんだぁ、てか美人なんだぁ」
あっという間に五人に囲まれ、品定めが始まった。
特に顔をまじまじ見られて落ち着かない。
自分の知らないところで流された、自分の評価も気に入らない。
完全なる敵地ムードに、自分自身が萎縮を始めた。
先輩女子の圧がすごくて、後ずさった私は鞄を胸の前で抱き締める。
五人の視線、五人のまとう空気がやけに濃い。
品定めだけでない、何か嫌な雰囲気を感じた。
歓迎も祝福も、喜ばしい感情など微塵もないことは、この五人から共通で送られてくる念で伝わってくる。
私じゃダメなのだ。
壱矢に何かしらの思いを抱いていることは、想像に難くない。
これは、厄介なことを引き受けてしまった。
「もういいだろ?俺のだから返して」
女子達の考えていることを知っているのか知らないのか、品評会を中断させた壱矢が、私を自分の懐一番近い場所へ行き寄せた。
あまりに優しく扱われるものだから、思わずドキリとしてしまった。
一緒に住み始めることになった当時の私に言ったら、ひっくり返って魂が抜けるかもしれない。
だが、あの頃より壱矢との距離が近いことも、壱矢の印象が違っている事も、今の私には不快に思う材料ではなくなっていた。
嘘をつく事に気が進まないだけで、壱矢との今の立ち位置に不満など感じていなかった。
胸を張って自己紹介をした私を、Aさんが上から爪先までがっつり見ている。
「ねぇ、もしかして斎賀さんって男子が噂してる子じゃない?一年ですっごい可愛い子が入ったって騒いでたじゃん」
「あー、その子かぁ、うわさの。へーぇ、ほんとに可愛いんだぁ、てか美人なんだぁ」
あっという間に五人に囲まれ、品定めが始まった。
特に顔をまじまじ見られて落ち着かない。
自分の知らないところで流された、自分の評価も気に入らない。
完全なる敵地ムードに、自分自身が萎縮を始めた。
先輩女子の圧がすごくて、後ずさった私は鞄を胸の前で抱き締める。
五人の視線、五人のまとう空気がやけに濃い。
品定めだけでない、何か嫌な雰囲気を感じた。
歓迎も祝福も、喜ばしい感情など微塵もないことは、この五人から共通で送られてくる念で伝わってくる。
私じゃダメなのだ。
壱矢に何かしらの思いを抱いていることは、想像に難くない。
これは、厄介なことを引き受けてしまった。
「もういいだろ?俺のだから返して」
女子達の考えていることを知っているのか知らないのか、品評会を中断させた壱矢が、私を自分の懐一番近い場所へ行き寄せた。
あまりに優しく扱われるものだから、思わずドキリとしてしまった。

